ODAWARA MELT DOWN

二個前くらいのブログに書いたんですが、そっちのブログのURL忘れたので書き直します。

 

 

 

 

僕は1年間ほど神奈川の小田原で暮らしていたことがある。

 

Amazonの倉庫でピッキング作業に従事していたのだが、1日12時間の拘束(実働10時間半)と三勤三休という勤務体制、それと10時間半ひたすら歩き続けるのが嫌すぎて辞めた。まぁそれは今はどうでもいい。

 

1年間というそこそこ短い期間の仕事だったが、色々あった。

兄の伝手で入り一緒の職場だったのだが、兄が10離れてる女にセクハラ紛いの絡みをしたらしい話とか、フルグラフィックで南ことりの絵が描かれてるけど、コーヒーをこぼしたらしくめちゃくちゃに茶色くなっているバッグを提げて通勤している激臭オタクくん(ネカフェ難民)に気に入られた話とか、仕事中に倒れた人を助けて仲良くなったりしたりと色々あった。

 

でも今回は違う話をしようと思う。

前述の話よりかはランクが下がるかもしれないけれど。

 

 

 

仕事が終わって三連休を迎えようという朝。

この日は仕事中から酒が飲みたくて仕方なくて、仕事が終わったら絶対に酒を飲もうと心に誓っていた。

 朝7時。通学や通勤で人もまばらに現れた頃。

こういう時間に酒を買うのは社会に適合していないみたいで嫌なのだが、家に帰っても酒は無いからしょうがないので帰り道から少し外れたコンビニに寄った。

 

パパッと酒とツマミを買って帰ろうと、ビールと乾き物をカゴに入れてベン•ジョンソンもかくやといったスピードでレジに向かった。

完璧な動きだった。一分の隙も、無駄も無い動き。今日の締めに相応しい動きだった。

だが、ふと目に入ったイカフライが、それまで完璧だった流れを狂わせた。

 

「すいません、イカフライもお願いします」

 

「かしこまりましたー!ソースお付けしますか?」

 

「あっ、はい。お願いします」

 

「どのソースがいいですか?」

 

僕はフリーズした。

どのソース?コンビニの袋ソースにそんなに種類があるか?そもそも何のソースがあるか全く分からないんだが。

頭では色々考えていたのだが、脳は反射的に言葉を発していた。

 

「えっ?あっ、じゃあ、普通ので」

 

この返答が良くなかったらしい。

僕は店員のよくわからないスイッチを押してしまった。

 

 

「いやー、みんな普通って言うんですけど、普通って言われても分からないんですよねー!とんかつソース、ウスターソース、タルタルソースとか色々あるじゃないですか?だから”普通のソース”って無いんですよね!」

 

なんなんだコイツは?なんでコイツはちょっと怒っているんだ?

そしてなんで俺はちょっと怒られているんだ?

こんなわけのわからないことで朝から。

俺はビールが飲みたいだけなのに。

 

そもそもそんなに気に入らないなら最初から何のソースがあるのか教えてくれ。後出しジャンケンをするな。

そもそもソースでマウントを取ってくるな。適当にウスターソース入れといてくれればそれでいいんだよ。

 

今となってはこれだけ言葉が出てくるが、店員から怒られたときは訳の分からなさに頭が真っ白だった。

かろうじて出た言葉は

「じゃあ、ウスターソースで、お願いします...」

だけだった。

 

僕は負けた。

店員との決闘(デュエル)に負けたのだ。

 

その後も店員は

「いやー、みんな普通っていうけどホントにわかんないんですよね!なんでみんな普通っていうのかなー?」

みたいなことを言ってきたが、もうこっちは謎の敗北感と疲れてるわ腹減ったわ酒飲みたいわでさっさと帰りたかったからひたすら「はい」と「そうですね」の相槌だけで答えた。

 

店を出るとき、店員のやたらと元気のいい「ありがとうございましたー!」が勝ち誇っているように聞こえて虚しくなった。

こんなことに敗北感を感じている自分に対しての虚しさか、朝からくだらない事で気を揉んだ虚しさか、それは分からないけれど。

 

 

僕の人生ではこういうのがいっぱいあるので、気が向いたら備忘録も兼ねて書いていこうと思います。