Bad smell O・T・K

今まで生きてきた中でもトップクラスにヤバいオタクがいた。

 

小田原のAmazonの倉庫で働き始め一週間くらい経ったとき、ピッキングから外れて雑誌の付録付けに回されたときの事である。

集められたのは性別も年齢もバラバラの6人。その中でも異常な明るさを放つ男がいた。

それが前述したオタク(以降、オタクと表記する)なのだが、この時はまだ「めちゃくちゃ明るいな」という印象を受けただけだったが、一緒に仕事をしているうちに何故か気に入られてしまった。この日は特に何もなく、一緒に食堂で飯を食っただけで終わった。

 

3日後、同期と飯を食っていると横にオタクが座った。

この時にある違和感が鼻についた。比喩ではなく、本当に鼻についた。

このオタク、めちゃくちゃに臭い。この間は臭いがしなかったのに、この日はやたらと臭いのだ。

同期も怪訝な顔をしている。俺だけが感じているわけではないらしい。俺はさりげなく席を離した。

 

さすがに臭いがキツすぎたので原因を探るべく、さりげなく話を聞いていくことにした。

 

•いつから働いてんの?

→1年前くらい

 

•何処に住んでんの?

→今は駅前のネカフェ。半年前くらいに親に勘当されたから

 

 

は?勘当された?ていうかこいつネカフェ難民なんかよ。というか、派遣会社同じだし寮あるだろ。なんなんだコイツは。

 

•寮は借りないの?

→めっちゃサボるから借りさせてくれないんだよね

 

さすがに呆れて言葉が出なかった。こんなにヤバい奴がいるのか。身内にもヤバいのはいるが、さすがにここまでではないかもしれない。(と、この時は思っていたが、兄がこのオタクよりヤバい奴になる。)

その日の食事は臭いのせいからかめちゃくちゃ不味かったので、一言「風呂は入ったほうがいいよ」とだけ伝えて別れた。

 

完全に人生の落伍者であり現代社会の闇を体現したオタクは次の日、通勤時にとんでもない姿を見せつけてきた。

アニメキャラが描かれたTシャツをGパンにin。提げているショルダーバッグには南ことりが描かれており、コーヒーをこぼしたようなシミが南ことりの顔を汚していた。

周囲の人間をドン引かせる汚タクコーデ。しかも臭い。よくそれで仕事に来れるな、と思って見ていたら目が合ってしまい話しかけられてしまった。

衆人環視の中、もはや障害者と言っても差し支えないだろう人間と話すのは拷問に近かった。

 

 

 

 

オチになるが、次の日もまだ臭かったのであからさまに態度を変え、同年代の友達と飯を食うようにしていたら寄ってこなくなった。

 

悪い人ではないのだ。悪い人ではないが、それだけでは人付き合いは為せない。このオタクから学んだことは多かった。

 

これからはしっかり人を見るようにしよう、と思えた事件だった。